贈与のご相談をいただくケースが増えてきました。年が明けて2024年から暦年贈与に関する項目に変更があり、いままでよりも早く始めて早く終わることをお勧めしていて今回はその理由をお伝えします。
生前贈与加算が3年から7年に
生前贈与加算というルールがあります。
亡くなった時から3年以内に贈与した財産については、相続遺贈で財産を取得した人が受けた贈与について、相続財産に計算上足し戻して相続税を計算するというルールです。
相続税と贈与税は補完の関係にあるため亡くなる直前に多額の贈与をすることで、相続税を免れるということを防ぐために設けられたと考えられています。
相続があったときに3年分を足し戻して、財産に加算するというのを生前贈与加算というルールで呼ぶのですが、これまでは3年間が足し戻しの期間でした。
なくなってから3年以内の贈与については足し戻しの対象になるけど、それより前であれば足し戻しの対象になりません。
このルールが変更になり、3年間が順次延長されていき7年に伸びる予定になっています。
少し先の話ではあるのですが、順次7年になっていくのでより出し戻しの期間が長くなるということを意味しています。
人が亡くなるタイミングいうのは不確定なものがありますので、早く始めて早く終わる。つまり早く始めて早く終わって7年にかからないようにするというのは、暦年贈与を選ぶときのポイントになってきます。
贈与する相手を相続や遺贈で財産を取得しないであろうこの配偶者や孫にしておくというのも生前贈与加算の対象外にできますので選択肢にはいってきます。
認知症のリスク
加えてもう一つ注意しておきたいことがあります。それは認知症のリスクです。
贈与を行うときには贈与契約が必要ですが、財産を渡す人の「財産を渡します」という意思と財産を受け取る人の「受け取ります」という意思が合致して初めて成立します。
認知症の症状が進んでしまうと財産をあげますという意思表示が確認できないということを意味してきます。
症状が進めば進むほどそのリスクが高まるといえるのですがいつどのタイミングでどれぐらい症状が進行してるかというのは個人差がありますし、その日の日中によってもしっかりしてる時もあれば少し怪しいタイミングもあるそうです。
そのため、そういったリスクを回避するために贈与を早めに始めて早く終わる、認知症のことを心配しなくても良いタイミングで始めて早めに終わるというのが理想です。
教育資金贈与なども制度の時に早く始めていた場合には、相続財産の足し戻しの対象にならず、現在相続が発生しても影響がない範囲になっています。
しかし、教育資金一括贈与も利用が増えてきたため、いまでは一定の要件を満たす場合を除き、相続財産に戻すことになっています。
こうした特例贈与についても早く始めて終わるというのは効果的と考えられています。
まとめ
贈与に関する改正があったとはいえまだまだ相続税対策では有効ですし人気があります。シンプルでわかりやすいというのもいいのでしょう。
実行前には名義預金にならないように気を付けていただき相続税のシミュレーションもしておくとより安心です。