遺言の件数が増えるにつれて、遺言で相続人以外の人が相続をするというケースが見かけることがあります。遺言の場合は相手が法人であっても、赤の他人であっても、親族以外に財産を遺贈するということが可能です。
相続人以外の人が財産を相続した場合の注意点についてまとめてみます。
手続き上の注意点
手続き上の注意点として親族以外の人が遺贈されるわけですので、法定相続情報一覧と呼ばれる相続人一覧を作る際にはその対象から外れることになります。
法定相続人を確定するための書類であって、遺言で財産をもらった相続人以外の人については、そこに記載されることがありません。遺産分割協議は遺言があると基本的にはありませんので、その点は考慮しなくても良いでしょう。
遺言を破棄して、遺産分割協議をするということも可能ではあるのですが、遺言で財産を行う人、遺言執行者の承諾が必要になりますので、相続人以外の人が遺贈を受けている場合には、遺言破棄するのは難しいと考えた方が良いです。
自発的に遺贈を放棄するということは可能ですので、もしどうしてもその財産を受け取りたくないということがあれば、放棄の方も選択肢に入ります。
また遺産整理の手続き、実際の分割の手続きにおいて残高証明書等を取得する必要が出てくるのですが、その際にも相続人であることというのが、割といろんな金融機関で言われることですので、遺言で財産をもらった相続人以外の親族等が残高証明書を取得したりできるのかという事は改めて確認しておいた方が良いです。
基本的には遺言執行者がその手続きをすることになりますので、遺言執行者が選任されている場合には、遺言に基づいて執行者が各種手続きを行うことができます。
金融機関が遺言執行者になっている場合には、相続人以外の人が遺贈を受け取る場合には、相続人が受け取る財産のところは遺言が黒塗りになっているケースなどがあります。
この状態だと相続税申告は困難で全部の確認が必要になってきます。
税金計算上の注意点
相続人以外の人が財産を遺贈で相続する際には相続人以外の人が財産を取得しますので、2割加算の対象者です。相続税が二割増しということです。
生前贈与加算については亡くなる3年から7年以内(現在、加算期間の延長の経過措置中で最終的に7年になります)に財産を贈与された財産を相続財産とし足し戻して計算することになります。
生前贈与加算については相続又は遺贈で財産を取得した者が対象となりますので、相続人以外の人が遺言で財産を取得している場合にも3年なし7年以内に亡くなった人から財産を贈与されている場合には、その計算の対象となります。
生前贈与加算の対象でもありますが、贈与税を支払っている場合には贈与税額控除の適用もありますので、セットで忘れないようにしましょう。
相続税の計算上は障害者控除、未成年者者控除というのがあるのですが、それについても法定相続人であることが要件になっていますので、相続人以外の親族が財産を依存された場合には、対象の適用がありません。
小規模宅地等の特例であれば要件を満たしている被相続人の親族であれば適用対象になることがありますのでこちらも適用漏れがないように注意が必要です。
まとめ
遺言で相続人以外のかたが財産を相続することは可能ですが注意点もいくつかありますので遺言作成時には専門家に必ず相談したほうがよいでしょう。
法的なリスクと税務的なリスクと両方をある程度理解したうえで遺言で相続人以外のかたに財産を相続してもらうかは検討してみてください。