お隣さんのところには税務調査が来てない、お向かいさんのところはこういうことをして相続対策がうまくいった。
こういうお話は相続対策のご提案をする中でときどき見聞きます。隣の芝生は青く見えるものです。
お隣さんのところには税務調査が来てない、の中身
お隣さんのところには税務調査がきてない、贈与してもバレない相続税申告しなくてもバレない、というお話を聞くことがあります。
確かにそうかもしれません。
でもお隣さんの財産の中身を事細かに把握しているでしょうか。
不動産だってひょっとしたら配偶者と共有になっているかもしれませんし、土地の値段だけで税務調査が来る来ないは判断しづらいです。
相続税申告が必要な方は亡くなった方のうち9パーセント前後といわれており、1割もいません。
そのため、同じような場所に不動産を持っていたとしても相続税がかかっているかどうかは判別がつかず、結果的に相続税申告が必要じゃなかったという可能性もあります。
また、小規模宅地の特例などを使って申告は必要だけれど納税は必要なかった、というケースは実際あります。
こういったケースだと税務調査になったとしてもいわゆる追徴や修正申告になりづらく、税務調査で積極的に調査していない可能性があります。
そのため、税務調査が来なかった=相続税申告しなくてもバレない、ではなく、相続税申告をしていたけれど納税がなかったかもしれず、もっと言うと相続税申告がそもそも必要なかったかもしれないのです。
こうして、お隣さんは(相続税申告の必要がなかったから)税務調査がこなかった、が独り歩きしていくことは一定程度あるのではないかなと考えています。
そもそも税務調査がきたことはあまり周囲に言いたいことではないため積極的にオープンにしない人のほうが圧倒的に多いでしょう。
お向かいさんのところは相続対策で税金がかからなかった、の中身
お向かいさんのところは相続対策で税金がかからなかった、も似た話ではあります。
前述のように小規模宅地の特例を使っていたり、配偶者の税額軽減で配偶者が財産全部取得、1億6千万未満の財産であれば相続税がかかりません。
相続対策で税金がかからないというよりも財産が少なくて相続税がかからなかった可能性も考慮しておいたほうがよいでしょう。
例えば暦年贈与であっても財産を贈与で減らすわけですから相続税がかからない可能性と同時に贈与税がかかっていたかもしれませんし。
場合によっては贈与税トータルのほうが相続税よりも高くついたというケースもあるため、真に受けるのは危険です。
相続対策に魔法の杖はなく、贈与するにしても地道にやるほかありませんし、一時はやった一般社団法人を使ったスキームなどもどんどんフタがされています。
どこに主軸を置くかでやるべきことが変わってくるのが相続対策です。
例えば孫を養子として縁組している場合もありますが、そこまでしたいかどうかは家族の価値観です。
贈与も多額を孫にしてしまうと金銭感覚がおかしくなってしまうという心配をされることがありますが確かにその心配もわかります。
どの方向性で相続対策したいか、そこがまず大事です。
揉め事を回避したいのか、認知症リスクに備えるのか、はたまた税金のコントロールなのか。
いろんな軸がありますのでよその庭の芝生を見るのではなく自分のところの芝生を見て必要なことを着実にやっておくがおすすめです。
少なくともよそ様と自分のところの家族関係も仲の良さも悪さも、財産の規模も違うことのほうが多いですから参考程度にしておいて自分のご家族にとって必要なことがなにか考えてみましょう。
まとめ
お隣さんとかお向かいさんではなくご自身の家族のことなどを考えて方向性を決めていくのがよいでしょう。
同じことして税務調査がきてもお向かいさんもお隣さんも責任は取ってくれません。ご家族の状況や価値観に合った対策が必要です。