兄弟姉妹やその子、つまり甥姪が相続人になることがあります。その際の相続の注意点について整理しておきます。
親族のパターン
相続税の計算上、兄弟姉妹や甥姪が相続人になるケースは何パターンかあります。
ご本人が子や配偶者がおらず、親・祖父母がすでになくなっている場合には、横にスライド、つまり兄弟姉妹が存命ならそちらに、兄弟姉妹が亡くなっている場合でその子がいれば甥姪まで。
これが一つ目のパターンです。
もうひとつが配偶者はいるが子がおらず、親世代は亡くなっている場合には配偶者と兄弟姉妹が相続人というパターンです。
配偶者も子もいない場合には自分側の親族だけで物事が進んでいきますが、配偶者と兄弟姉妹だと揉めるケースがあります。
配偶者の方の立場で見ると義理の兄弟姉妹と財産の分け方を相談するわけですから、きれいにまとまるか不安があるでしょう。
こういう時には遺言を作成しておくのが有効です。
兄弟姉妹・甥姪には遺留分がありませんので配偶者に遺産を全部相続させたとしても争いになりません。
配偶者の方は相続した財産を自分の側の親族に相続してもらう形になります。遺言がない場合には先に亡くなった方から見ると姻族のほうに財産が引き継がれていきます。
これを避けたいということであれば、配偶者の方は先に亡くなった方の親族側へ相続させる遺言を準備するというのがセオリーです。
遺言を準備しあうということですね。
配偶者がいない場合は自分の親族側だけで物事が進んでいくので一見すると簡潔に見えますが、注意点もあります。
それは縁が遠くて財産債務の把握が難しいという点です。
特に債務の確認に注意
エンディングノートや財産にかかわる資料が丁寧に残っている場合はわかりやすいですが、全部が全部そうとも限らないでしょう。
考えてみると縁が遠いおじさんやおばさんの財産債務の整理というのはなかなか大変です。
財産はまだしも債務はよく注意しないといけません。
というのも書類に残っているものだけが債務というわけではないからです。
借用書がでてきても果たしてそれが支払いが終わったものなのか、いくらか残っているのか、残っているとしたらいくらか、ということの確認はかなり大変ですよね。
ご本人が借り入れたもの、融資を受けたものなどは個人の信用情報である程度把握できます。
生きている人が借入するときに信用情報を確認されるあれと同じです。
それとは別で把握が最も難しいのは連帯保証人になっているかどうか。
ご丁寧に記録を残していればよいですが、連帯保証も相続の対象ですので、いつどこで誰かの連帯保証をしているかは把握が困難です。
そのため、ご本人がギャンブル好き、人が良かったなどの情報があるときには特に注意です。
相続放棄も含めて検討してもらったほうがよいでしょう。
目に見えているプラスの財産を相続したつもりでも連帯保証も相続してしまっていた、あとで請求されたみたいになると目も当てられません。
まとめ
相続の場合はやはり揉め事になることを回避することと、財産債務を漏れなく把握することが大事なポイントです。
そのために事前に整理できることがあれば積極的にやっておくべきでしょう。特に縁が遠い親族の財産を相続することになったら債務については注意深く慎重な判断をおすすめします。