青色専従者給与の届け出だけして支払いは全くしてない、みたいなことを見聞きすることがあります。
配偶者や親族に給与が出せるぐらいの感覚なんでしょうけれど危険な処理をしているのを見かけるので基本をおさえておきましょう。
青色事業専従者給与の基本
青色事業専従者給与とは文字通り?青色申告の承認を受けている個人事業主がその配偶者や親族に支払える給与です。
つまりは通常だと家族には給与が払えないのですがしかるべく届出(青色事業専従者給与に関する届出)をしている要件を満たした場合に支払ったものが経費になる、というのが基本ルールです。
人の要件としては
その青色申告者と生計を一にする配偶者または親族であり、その年の1月1日において15歳以上であること、がまずは必要です。その年の6か月を超える期間についてその青色申告者の営む事業にもっぱら従事していることも。
生計一というのはお財布が一緒だ、という認識でひとまずOKです。
一つ屋根の下に住んでいて日々の生活費は一つの財布からまかなっている、というのであれば生計一といえます。
届出は青色申告者の納税地の所轄税務署長に対して提出する必要があり、業務の内容は給与上限などを定めておきます。
経費になる要件として、届出されている方法で支給されており、その記載額の範囲内に収まっていること、労務の対価として相当であると認められること、が必要です。
労務の対価として相当であるというのは実際に仕事をしていることや、相場からみて高額すぎないととらえてもらってひとまず大丈夫です。
家族だから、という理由で甘い処理をしていると税務調査があったときに追及される部分となります。
ちなみに青色事業専従者給与を支給している場合には配偶者控除は受けられないのでその点は注意が必要です。
ほかは実際の給与と同じで年末調整をしたり源泉徴収したりそういったことも必要ですがいざ確定申告になってやってませんでした、となると処理が難しい部分はあります。
こういう処理は大丈夫?
こういう処理は大丈夫か?というのを把握しておくことで予防的に取り組めますのでいくつかピックアップしてみます。
よく見聞きするのが青色事業専従者給与を実際には支給していないという状態です。これは、要件にもあるように支給したものが経費になる、という部分を満たしていません。
家族だからいいだろうではなく家族であるがゆえにしっかりと支払いの処理をしておくことが望ましいです。
資金繰りなどにより短期的な未払いで解消がすぐにされているのであれば問題ないです。
あくまできちんと支払いができていることが大事なのでチェックしてみましょう。振込記録などを見ればすぐにわかるわけですので、それは税務調査の調査官が見ても同じです。
続いてよく見聞きするのが仕事をしているかどうかがあいまい、一緒にいる時間が長いので仕事時間という切り分けができない、という話。
労務の対価が給与なわけですから少なくとも仕事をしているかどうかでいうと仕事をしていないと給与が支払えません。
普通に第三者を雇ったら仕事をしていなくても給与を支払うかというとそうじゃないでしょうし。
仕事の時間をきちんと記録しておく、どういう業務を行っていたか日報などをつけておくのは有効です。
なんにもなくただ給与だけ支払っていたのでは脱税とみなされても文句が言えないでしょう。
仕事をしていないわけですから。ここでも家族だからいいだろうということではなく、家族だからこそきちんと記録をしておくのがやはり大切です。
青色事業専従者という名の通り、専従者ということなのですがときおりアルバイト・パートで外で働いてもよいかというご質問があります。
基本的にはやめておいたほうがよいです。
というのも専従の状態ではないと指摘しやすくなるから。もっぱら従事というのは仕事できる時間の大半をその青色申告者の事業に従事していることを意味します。
何時間とかそういう問題ではなくて、もっぱら従事要件というのはそういうことです。
ここをふわっと処理できてしまうと、前段で触れたように仕事してないけど専従者給与を届出してるし支払ったことにしてます、みたいなのがまかり通ります。
この、実際は違うけどこういう風に〇〇だったことにする、というのは事実と違うことをしているので非常にまずいわけです。
まとめ
届出をだせば簡単に給与が出せる、節税になるという情報が出回っていますが税務調査が来ると必ずといっていいほどチェックが入るのが青色事業専従者給与です。
業務内容と比べて高額な場合なども当然チェックされますので、第三者を雇用したときと同じような処理を心がける、というのが一番安心ではあります。
もし安易に青色事業専従者給与をスタートさせてしまった場合には一度処理を見直しておくことをおすすめします。