バレなければいいと思う方はときどきいらっしゃいます。ズルをする、といえばいいでしょうか。そういう方は事業を継続するためには何が必要か考えてみましょう。特にフリーランスのかたはプライベートの支出を経費に入れたがることがあります。
プライベートの支出を経費に入れようとする
バレなければやってもいいのでは、と思うかたでこの「プライベートの支出を経費に入れようとする」のがよく見受けられます。
もちろんグレーなものもあります。
税務上のセーフティなものには幅があり、ものすごくリスキーな処理とものすごく安全な処理の間には幅があるものです。
例えば自宅で仕事をしているので家賃を経費に入れたい、というご要望は一定程度あります。
自宅で仕事をしているのであればもちろん経費に該当するものがあるでしょう。
ただそれが家賃の100%かといわれると違いますよね。
仕事をするだけの場所としての家賃というわけではなく、寝起きも食事もそこでしているのであれば割合がでてきます。
これを無理強いして100%計上を求められるようなかたはサポートできませんので解約に、ということになります。
仕事専用の部屋があって、一日6~8時間仕事をそこでしているような場合にはその仕事の時間や全体に対する面積の割合で経費計上を検討します。
これが20%になるのか、50%になるのか、はたまた5%になるのかは個別の事情になります。
また電気代や通信費は仕事で必要というのはわかりますが、ガス代や水道代は仕事をしていなくても基本的にかかる支出です。
どちらかというと生活費のほうに比重が高くなりますから、ガス代や水道代は計上しないことがわたしの事務所では多いです。
また、同人作家や漫画家の方で何でも資料費、取材費に計上したがるかたがときどきいらっしゃいます。
将来的な作品の参考にするため、というのは理由としてはあり得ますが、では将来の作品において参考にならなかったものは経費から外すのでしょうか。
資料や取材にかかった費用でも、それが作品にどのように反映もしくは影響しているのか説明できなければ経費性はかなり薄いといわざるを得ません。
プライベートで楽しむものと仕事で必要なものの区別は事業主であれば一本線を引いておきましょう。
プライベートの支出を経費にしても楽しくもなんともなくなってしまいます。
個人事業主の税務調査のきっかけ
プライベートの支出を経費にしていると確定申告書や決算書上だけでは見えてこないことは確かにあります。
ただ、売上に対する経費の割合について国税庁・税務署やこれぐらいという目安を持っているといわれています。
例えばフリーランスのデザイナーならこれぐらいが妥当だろうというラインということです。
このラインを越えて経費を計上している場合には中身がなんなのか税務署側も気にする可能性は高まります。
赤字やぎりぎりの利益の状態が何年も続いているとこの場合も税務調査の可能性が高まります。
経費が多いということも可能性として見られますが、個人事業主の場合は利益で生活をしているという側面があります。
つまり赤字が何年も続いていると申告書を見た時に「この人はどうやって生活費を工面しているのだろうか」となり、さらに「プライベートの支出を経費にしているからではないのか」という思考の流れになるようです。
調査官も怪しくないところにいって時間を使うよりかは、このように何かがおかしい、と感じる内容の申告についてはピックアップする心理が働くと国税出身の税理士のかたから聞くことも多いです。
そもそも利益が何年も出ていなければ経済合理的には事業を続ける理由がないようにも見えますし。
そう考えると申告書の数字のおかしなところ怪しいところは税務署の調査官は気が付くときには気が付く、経験上そういうものを見抜く力はあると考えておいたほうがよいです。
まとめ
プライベートの支出を経費に入れることのリスクはかなり高いのでお子さんや配偶者、親など身近な人に胸を張って説明できないのであればやめておいたほうがよいです。
それよりもいかに利益を残せるか、そのために必要なことはなにか、そういうことを考えられる人が事業を続けたり拡大したりできている印象です。
せっかく始めた事業ですから長く続けるために利益が必要であること、それを念頭に経費を見直してみましょう。