フリーランスをしていたり給与所得のサラリーマンのかたでも2つ以上の所得があるという状況はあり得ます。不動産賃貸収入と不動産売却収入の申告の違いについてお伝えします。
不動産賃貸収入の申告
事業所得があるフリーランスのかたで相続等で賃貸不動産を取得した場合を考えてみます。
この場合、フリーランスとしての事業所得と不動産収入としての不動産所得の二つに所得が分かれます。
ときおりひとつで計算している場合がありますが所得の種類が別なので決算は別で行い、確定申告書のほうで所得を合算します。
2つの決算書と1つの確定申告書ということです。所得が複数あっても確定申告書はどの場合でもひとつです。
弥生会計やfreeeなどの会計ソフトを利用している場合には不動産所得の区分を使うかどうかの選択肢が選べます。
選択をすると、事業用の入力区分と不動産所得用の入力区分に分けることができ、表示も不動産所得用の勘定科目については【不】といった形で表示されます。
これにより、事業所得と不動産所得の決算書を分けて使用することになります。
まずは所得が別なことをベースにして収入・経費を区分するところからはじめましょう。入力もそれぞれの所得区分で行います。
固定資産についても不動産所得の分と事業所得の分とで分けて登録します。決算書は事業用のものと不動産所得用のものと2つ出来上がるはずです。
青色申告特別控除の控除の順番ですが不動産所得でまず控除して、控除しきれない部分は事業所得から控除、という順番です。
不動産所得は非事業的規模であっても要件を満たしていて事業所得で青色申告特別控除65万円が取れるのであれば不動産所得から65万円控除可能です。
ただし別々で控除を取る、不動産所得から10万円青色控除して、事業所得から65万円青色控除して、という形にはできません。
おひとりにつき最大で65万円の青色申告特別控除というのは変わりがないです。
不動産売却に関する申告
思わぬ形で自宅の売却や相続した不動産を売却することもあるかと思います。
同じ不動産に関する収入でも譲渡と賃料収入では所得計算上は別の区分で行いますので注意が必要です。
不動産の賃料収入については不動産所得でしたが、不動産の譲渡つまり売却による利益にかかる税金については譲渡所得という区分で計算します。
この不動産の売却による譲渡所得は申告分離課税と呼ばれるもので給与や年金、事業、不動産所得などとは別に税額計算を行います。
収入が給与のかたが不動産を売却して利益が出ている場合などは、給与所得の分と不動産売却の譲渡所得が申告所得です。
具体的には給与は源泉徴収票をベースに申告書を作成し、不動産売却は申告書の第3表と譲渡所得の内訳書を作成していくことになります。
給料については給与所得という区分ですが総合課税といってほかに総合課税の所得がある場合には合算して所得税計算をします。
一方で不動産の売却についての利益は例えば5年超(売った年の1月1日で判定)所有している不動産であれば所得税率は15.315%、住民税率は5%となっていたり所有期間などに応じて税率が変わる場合もあるので注意しましょう。
居住用だったり居住用の不動産を買い替えたりといった場合にも特例があるので適用漏れがないようにしたいところです。
まとめ
不動産賃貸収入と不動産売却収入の申告の違い、注意点についてお伝えしました。所得区分の違いから申告のしかたが異なりますので混同しないようにしましょう。
不動産売却収入は特に特例が多いので適用漏れがないようにもしておきたいところです。