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デジタル財産の相続のポイント いかに漏れなく伝えるか

デジタル財産の相続のポイント

オンライン上だけでサービスが完了する銀行口座やネット証券会社が増えてきたことに伴い、導入する会社や事業主も増えてきました。それに伴って個人でもそういったサービスを利用する機会が増え、知らずにデジタル財産を持っている状態です。

相続の現場で特に若いかた(30~50代ぐらい)が亡くなったという場合にはデジタル財産がないかの確認をするようにしています。

デジタル財産の相続のポイントをお伝えします。

目次

デジタル財産の特徴と相続の場面でのデメリット

一番マズイ状況としては家族がその財産の存在を把握していない、把握しづらいということです。

ネット銀行やネット証券では店舗がないことにより通帳やいわゆる取引残高報告書など紙ベースでの資料が極力排除されています。

一般的な金融機関、証券会社に口座をお持ちの場合は何かしらその所有していることの痕跡として紙資料がご自宅にあったり、亡くなった後に書類が届くことにより判明します。

紙の書類がないことは利用者としては便利な面が大きいですしそれがゆえのネット銀行、ネット証券です。

ただ、相続の現場で、ということになると話が変わってきます。

通帳がないことの不都合としてはログインできなければおカネの出入りを第三者が確認するのに時間を要するということです。

証券会社もネット証券だと手元に口座開設時などの書類が残っておらず、書面交付はすべてオンライン上で、となると財産把握が困難なケースもあります。

ネット銀行であればキャッシュカードが発行されていることが多いので、店舗がなくとも近くのコンビニATMでお金をおろせますし、まだ存在を確認しやすいです。

また、これらネット銀行やネット証券だけではなく仮想通貨取引をしているケースだとより分からなくなります。

スマホだけで取引ができてしまったり海外の口座に仮想通貨をおいているケースもあるでしょう。

スマホのロックが解除されないと財産把握が困難なものも増えてきている印象です。

一方で、亡くなった後にスマホやパソコンを見られたくないというニーズは一定数あってそのあたりは悩ましいですが、デジタルデバイスは個人の趣味嗜好が凝縮されていると言えるでしょうから配慮は必要です。

私も自分が亡くなったらパソコンやスマホを見てもらってもいいかというとあまりいい気はしないでしょう。亡くなっているから関係ないだろうというとそういうわけでもないです。

死後にもその人の評価、印象というのは残りますから。

相続のことを考えると発見されないというのが一番ネックになります。いくらあるかもそうですが、財産そのものの所在が不明というのは手続きでも申告でもハードルが高いです。

デジタルのものをアナログで記録するという矛盾

いかにデジタル財産の存在を伝えられるかという点は意識しておいた方がよいですが、手続きをする人がオンラインでのアレコレに慣れているとは限りません。

デジタル財産をどのように引き継いでもらうかですが、現状では手続き面でもパソコンやスマートフォンを使う必要があるのでそういうことに慣れていると良さそうではあります。

通常の銀行口座や証券会社の相続手続きの流れとしては、亡くなったことの連絡、戸籍等の提出、銀行所定の書類に記入押印し提出、というのが一般的です。

最悪の場合でも店舗に通帳を持って行けば何とかなりますし、店舗に行くことで解決することがあります。

検索したりしなくて済みますので、店舗がある安心感はあるでしょう。

ネット証券や口座の手続きは連絡先がオンライン上でしか確認できないケースが多いため、検索ができないと結構大変です。

連絡した後は店舗がない場合には全て郵送対応ですので困ったときにどう確認するか、という課題もあるでしょう。

そもそも相続手続き自体が初めてというケースもありますので相談したいことはたくさん出てきます。

また口座の存在と同時にID・パスワードの管理と伝達をどうするかも課題です。

ID・パスワードを知らなくても相続手続きそのものは可能です。該当する金融機関に照会をかける必要はありますが。

この辺りは一般的な金融機関と同じです。暗証番号を知らなくても相続手続きできます。

仮想通貨・暗号資産の海外取引所の手続きは日本法にのっとってということが難しくなる可能性がありますので手続きとしては複雑になると考えられます。

こういったことを想定するとデジタル財産はなるべくまとめて減らしておくという従来の財産整理としての終活はもとより、いかに相続人に財産の所在を伝えられるかというのが手続きのスムーズさの鍵になります。

現状では相続人がオンラインでの手続き関係に慣れていないことやパソコンやスマートフォンのロックを解除されることが気になるということを考慮すると、アナログではありますがノートやメモ程度でもデジタル財産の所在を伝えるのが良さそうです。

デジタル財産のことをアナログで伝えるという矛盾はありますが致し方ない部分もあるやもしれません。

まとめ

相続手続きそのものが戸籍ベース、紙ベースで進んでいくのでどうしてもアナログな部分が出てきてしまいます。

ツールとして相続人に口座の存在や保険証券などをデジタルで連絡できるものがあれば活用するのもひとつですがそこまでやるかどうか。

アナログな部分があるのは仕方がないと割り切るのもひとつです。漏れなく伝えるというのがまず第一ですので。

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この記事を書いた人

京都市下京区で税理士をやっています、ジンノユーイチ(神野裕一)です。
相続や事業のお困りごとを丁寧に伺い、解決するサポートをしています。
フットワーク軽く、誠実に明るく元気に対応いたします。

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