まだタイミングじゃないな、という方はぜひ毎月末の事務所通信メルマガ(無料)の登録をこちらから!

漫画家・同人作家向け アシスタント周りの経理

漫画家・同人作家向け アシスタント周りの経理

漫画家・同人作家のかたで完全におひとりで背景作業から何からやっている、という方も中にはいらっしゃるのですが、多くがアシスタントに仕事を依頼している印象です。

アシスタント周りの経理について整理しておきましょう。

目次

基本的な考え方

基本的な考え方としてアシスタントに支払う報酬が給与か外注費(業務委託)かというのが一番気になるところだと思います。

この2つ、受取の立場でも支払いの立場でも税務会計的な処理が全く違ってきますのでその点に注意が必要です。

給与の場合は

受取側は給与所得 支払側は支払給与
消費税は非課税
各種控除のための天引きで支払側の事務処理が煩雑

外注費の場合は

受取側は事業所得(もしくは雑所得) 支払側は外注費
消費税は課税
報酬としての支払いのため各種控除なく受取側で確定申告

という違いがでてきます。

ここで問題になってくるのが外注費のつもりで支払っていたけれど、後で税務調査があったときに外注費じゃなくて給与ではないか、と指摘されて修正することです。

修正申告は事務手続きも大変ですし追徴がある場合もあるので金銭的な負担も生じます。

給与として支払っている、雇用契約しているという場合でも外注費的なものとして見られる可能性はありえますので、支払があとでこれって◯◯ではないですか?と指摘されることがないようにしておきたいです。

あとよく見聞きするのが契約書があればよい、というわけではないということです。

雇用契約書があるから給与で計算、支給している場合も、業務委託契約書があるから外注費で計算、支給している場合もあくまで形式上はというはなしです。

契約書があるから雇用契約的に仕事をさせてもOKだ、ということを主張するひとがでてくるからです

実務では実際のところはどうか、という部分で判断します。

だからといって契約書がなくていいわけではないので、きちんと実態にあった適切な内容で契約を締結して実務もそれに沿った取扱いにしておくというのが大事です。

現場での対応チェック

現場での対応チェックについて把握しておきましょう。

まずはそもそも給与が外注費かという判断基準について触れておきますが、この部分は該当したらすなわち一発アウト、というわけではなく、総合的に判断するときの判断材料だと考えてください。

  • 仕事の内容が他人の代替が可能かどうか 可能:外注費 不可能:給与
  • 個々の作業について指揮監督を受けるか 受けない:外注費 受ける:給与
  • 業務遂行できなくても報酬請求できるか できない:外注費 できる:給与
  • 時間的拘束 場所的拘束があるか    ない:外注費 ある:給与
  • 材料や作業用具が提供されているか   されていない:外注費 されている:給与

という大まかに分けると5つのポイントがあるとされています。

アシスタントに置き換えてみると

  • 頼んだ作業をさらにほかの人に依頼することを許容できるか
  • 個々の作業について概要を伝えたうえで細かい内容ややり方を任せることができるか
  • 途中になっても報酬を支払えるか
  • 時間や場所を指定して作業をさせていないか
  • パソコンやペンタブなどを支給していないか

というふうにできます。

こういったことを総合的にみて給与か外注費かという実態に合った契約の締結と会計処理が望ましいです。

また外注費での支払いという場合には受取側、つまりアシスタント側で事業所得で確定申告をしていることのポイントは高いです。

というのも税務署的な見方をすると「確定申告していなかったのは給与だという認識だったからでは?」と指摘される可能性があります。

給与の場合には社会保険等の加入や手続き、労働保険関係への対応も必要になり事務手続きとしては煩雑になります。

一方で給与として仕事をしてもらうことである意味優秀なアシスタントを囲い込めるということもありでしょう。

優秀なアシスタント、いわゆるプロアシスタントと呼ばれるような方は引く手あまたではありますが、外注費計算だと事業所得で確定申告をしなければならずそれはそれで面倒に感じる方もいらっしゃるようです。

インボイス関係の処理

支払者である漫画家側から見た場合を中心に整理しておきます。

いままで免税事業者の場合はインボイス登録をするかどうかの検討をします。FANZAやDLsiteではインボイス登録をしていない場合の卸価格変更が発表されていますのでその金額を見つつということになるでしょう。

特に同人作家のかたでFANZAとDLsiteだけで販売している方は影響は大きくなりますのでチェックが必要です。

免税事業者のかたがインボイス登録をして課税事業者になった場合には2割特例が使えます。

この場合には仕入にかかる消費税の分は消費税の計算上考慮しませんので、外注先のアシスタントがインボイス発行しているかどうかは気にしなくてよいです。

インボイス制度開始前から課税事業者で簡易課税制度選択をしている場合にも、消費税の支払い分については納税金額に影響しません。

この場合も外注費を支払っているアシスタントがインボイス事業者かどうかは納税額に影響してきません。

最も気をつけたいのはインボイス制度開始前から課税事業者で原則課税方式で消費税の申告納税をしている場合です。

この場合は外注先アシスタントに支払う消費税部分がインボイスあるなしで処理が変わりますのでアシスタントにインボイス登録をしたかどうかの確認をしておきたいところです。

登録していない場合の消費税部分の交渉などは各自そのあとということになります。

まとめ

契約書があれば大丈夫、という訳ではなく基本的考え方のところで記載した判断基準をベースに、給与なのか外注費なのかの判断をしていきます。

あとで指摘されることがないように適切に処理をしておくためにもインボイス制度開始前に改めて整理して確認しておきましょう。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

京都市下京区で税理士をやっています、ジンノユーイチ(神野裕一)です。
相続や事業のお困りごとを丁寧に伺い、解決するサポートをしています。
フットワーク軽く、誠実に明るく元気に対応いたします。

目次