中小企業の税務調査でも現預金の取り扱い、小売業などでは現金についてチェックをされます。相続税の税務調査でも現預金は確認されますので改めて整理しておきましょう。
預金口座とお金の出入り
預金口座は亡くなった方の分はもちろんですが、相続人や同居していた親族の分、場合によっては孫の分まで確認してくると言われています。
預金口座があるかどうかと取引履歴を税務署の権限でもって確認するというわけです。
何を確認しているかというと、まずはお金の出入りです。
お金の出入りが多く例えば口座間での移動が多い場合にはそこから現金になっているモノがないかなどを確認します。
現金として引き出していることが問題なのではなく、生活費としての引き出しは通常考えられる範囲です。
それとは別に例えばこの後確認する自宅内に保管している現金になりうるものがないか、という視点でのチェックです。
また子や孫への贈与がないかも確認されます。
金融機関に残っている取引履歴の分については基本的にチェックされてくると考えておいた方がよいでしょう。
そのため税務調査で指摘されるかもしれないことを事前にピックアップして情報整理をしておくために、相続税申告の際にも可能な限り確認を行うことが望ましいです。
こういった預金口座の確認から特に配偶者の名義預金がないかのチェックも行われているようです。
専業主婦だったりすると配偶者の預金口座に多額の預金がある場合にはその預金の出自、どこからきたのか出所を確認していくことになります。
ご本人が仕事をしていたのか、実家からの相続なのか、配偶者からの贈与なのか。いろんな可能性があります。
現金の存在
現金が家にあったかどうかも確認がされます。相続財産として計上されているものがあるかどうかもそうですし、預金口座から生活費の引き出しがない場合にはどこから日々のお金を出していたか確認されます。
また葬儀費用や相続税の支払いもどこから行われたのか確認されますので、申告書に記載していない亡くなった方の現金から支払いをしていると亡くなった時点では家に置いてあったと考えられるので計上漏れを指摘される可能性があります。
現金に色や名前は書いてありませんが使ったときにどこからのものか?というのが相続後は特にチェックされると思っておいた方がよいでしょう。
また同居している子の生活費を援助することは通常の扶養義務の範囲内かと思われますので、預貯金や投資に回っておらず多額でなければ贈与税は非課税と考えられます。
事情があって仕事をしていないこともあるでしょうし、親や祖父母から生活費の援助をしてもらってそれが贈与になるという心配をしておられる方がときおりいらっしゃいますが、多くの場合は扶養義務の範囲内に収まるものです。
ただし、預貯金や投資に回っているとなると話が別で、生活に通常必要なものという範囲を超えていると考えられます。
そういった場合には贈与に該当することも含めて税理士に一度相談をしておくのがよいでしょう。
不用心なら現金は銀行に預けておく
最近は高齢の資産家を狙った押し込み強盗があったこともあり以前よりも自宅に現金をおくことが不用心と感じる方も増えているようです。
一方でペイオフ対策でタンス預金や自宅の金庫に現金を入れている方も多いという話を聞くことがあります。
つぶれないと思っていた銀行がつぶれてしまったという出来事はショッキングでしたし、鮮明に記憶しておられる世代の方も多いです。
とはいっても家に多額の現金があるほうが何かと心配かと思いますので、お近くの金融機関で無利息の普通預金口座が開設できないか聞いてみましょう。
預金利息は付きませんがそれも微々たるものですし、無利息の普通預金口座ですと基本的に預金保険制度により全額が保証されます。
つまり預け入れていた金融機関に万が一のことがあっても無利息の普通預金口座であれば保全額が手元に返ってくるということです。
ペイオフなどの心配があれば選択肢として検討してみてください。家にお金がたくさんあると不安な気持ちは軽減されないと思いますし。
あと、多額の現金を銀行に預け入れることについて税務署が補足して何かしてくるのではという心配をする方もいますが、預金口座にお金を入れるだけでは何もありません。
例えば金の売却をしたり保険の名義を変えたりそういうことをすると調書というものが業者から提出されますのでそういうことがあれば税務署も把握します。
お金を口座に入れるだけでは調書は出ませんので、どこからの現金かは把握しておくとよいですが、税務的な心配は預け入れに関しては不要です。相続財産なのに現金を計上していなかった方が問題になります。
まとめ
相続税の税務調査で確認される現預金について解説をしました。今現在ご自宅に多額の現金がある場合には無利息の普通預金への預け入れがおすすめです。
あとはたくさん預金口座があって使っていないものがある場合には解約して整理しておくのもよいです。口座があるだけで申告の際には残高証明や解約の手間がかかります。財産整理の一環として検討してみてください。