任意後見のご相談を資産税をしているとときどきいただきます。任意後見とはどういうものか、おひとりさま相続にとって良い点を整理しておきます。
任意後見制度とは
法定後見は成年後見や補佐などの制度を指します。対して任意後見は、後見されるかた、つまりサポートを受けたいかたが元気なうちに結んでおく契約です。
法定後見の場合は家庭裁判所が決めるのですが、任意後見は自分で決められることにメリットがあります。
自分の意思を最大限尊重してもらえるということですね。
任意後見を担う、サポートするひとには親族が選ばれることも多いですが身寄りがないかたですと士業がその役割を担うこともあります。
任意後見監督人という任意後見をするひとをサポートすることもあり、身上監護や財産管理の役割を別にするというケースもあります。
任意後見として登記がされている場合には成年後見に優先するとされています。
おひとり様相続への備え
おひとり様相続の場合には周りにサポートをしてくれる親族がいないことが想定されますので、認知機能に問題がない元気なうちに自分でサポートをしてくれるひとを探しておく必要があります。
その大変さはあるかもしれませんが、自分が信頼できる人を選べるというのは心強いですし安心にもつながります。
自分の認知機能が低下し判断が難しくなった時には事前に締結しておいた任意後見契約に基づいていろんなことをサポートしてもらえます。
任意後見契約を締結する際には他にも準備しておけることがあります。
代表的なものとしては3つの契約です。
ひとつめが見守り契約です。
ひとりで過ごしている場合には認知機能が低下したかどうか自分で判断がつかないことのほうが多いでしょう。
親族がいる場合には任意後見してもらう以前に気にかけてもらうことができるケースも多いので気が付くのが早いです。
親族がいないケースの場合には見守り契約を締結しておいて定期的な連絡や安否の確認をしてもらうことができます。
- 毎月決まったタイミングで訪問
- 毎週決まったタイミングで電話
- 病院の受診確認などの健康上のサポート
- 月額報酬は1万円
- 任意後見監督人が選任された場合には契約が終了
ふたつめが財産管理等委任契約です。
心身の状態が悪くなると自分の財産を管理することが難しくなります。この場合、事前に委任契約を締結しておくと財産管理や手続きをサポートしてもらうことができます。
- 金融機関の通帳の管理から収入や支払いなどの手続き
- 病院の入退院の契約、介護サービス利用の契約等の手続き
などを委任することができます。
みっつめが死後事務委任契約です。
任意後見契約は委任者つまりサポートを受けていたひとがなくなると任意後見が終了します。
ただし亡くなっても各種の手続きはありますのでその部分のサポートを受けるための委任契約です。
死後の事務としては遺体の引き取り、葬儀、火葬、納骨、永代供養、遺品の片づけ、病院への支払い、役所への届け出などいろいろと多岐にわたってあります。
親族がいる場合にはピックアップして手続きを行ってもらうことも可能かもしれませんが、おひとり様相続の場合にはそうもいきません。
事前に契約をしておくことで死後の事務手続きを円滑に進めてもらえることが期待できます。
まとめ
おひとりであってもそうでなくても認知症のリスクはありますし、いつかは判断能力が低下する時期が訪れます。
そうなったときでも安心して暮らせる準備をおひとりであればなおさら考えておいた方がよいでしょう。
おひとり様相続になりそうという場合には事前に専門家に相談することをおすすめします。