相続税対策のご提案をする際や相続税の試算をする際に必ず確認するのが納税資金が確保できそうかどうかです。
納税資金をまずは確認し足りているのか支払えそうか、支払えないならどうするか、ということをお話しするようにしています。
納税資金のめどをどうつけるか
相続税の試算をしたときに納税資金の目安がある程度計算してみますとどこから支払う予定にするかということを検討できます。
選択肢はいろいろありますのでどの方法にするかをある程度決めておくと安心でしょう。
亡くなった方の財産から
亡くなった方の財産から相続してその財産から支払う方法です。現預金がある程度財産の中に残されている場合にはこの方法を取ることが多いです。
ただし、財産の分け方が決まっていないと金融機関からの引き出しがかなり手間がかかるので分け方を申告期限の1カ月前までには決めておきたいところです。
遺言があるなら分け方を決める必要はなくなるので、比較的手続き関係もスムーズです。
死亡保険金から
財産を遺すかたが亡くなることによって死亡保険金が下りるタイプの保険加入をしている場合にはその受け取った死亡保険金から相続税を支払う、ということも選択肢のひとつです。
この方法の利点としては、遺産の分け方が決まっていなくても亡くなったことにより請求をすると比較的早く手元に保険金が入ってくるということ。
また死亡保険金は遺産分けの対象にならないこと。
また、法定相続人はひとり500万円までは相続税が非課税の枠があります。相続税がかからない財産ですので活用しやすいこと。
この3点により相続税の納税資金としての活用がしやすいのですし、まだ死亡保険に入っていないかたは相続税そのものの減少効果(現預金→死亡保険への組み換え)も期待できます。
現預金の生前贈与から
生前贈与の改正が令和6年から始まる予定ですがこれまで生前贈与をしてきたというかたは手元にお金を残しているケースも比較的多いです。
手元に生前贈与の分があれば、そこから相続税を支払う目途をつけていただくことがあります。
令和6年以降はこの辺りの生前贈与の使い方、活用の仕方が変わってくるのでその点は注意が必要です。
自分の手持ち財産から
ご自身の手持ち財産から相続税を支払うことも可能です。
この場合は相続した遺産からではないので少し負担感がでてきますが、納税できない状態を回避するためには選択肢の一つになり得ます。
できれば相続した財産から納税できるように手当しておくのがよいでしょう。
納税資金の現預金が足りない時の対策
ご自身の手持ち財産から相続税を支払うことも可能です。
この場合は相続した遺産からではないので少し負担感がでてきますが、納税できない状態を回避するためには選択肢の一つになり得ます。
できれば相続した財産から納税できるように手当しておくのがよいでしょう。
納税資金の現預金が足りない時の対策
納税資金としての現預金が足りないかもしれない、と試算により判明した場合には分け方を考えることもそうですが納税資金対策も必要です。
どれくらい足りないのか、他の財産を処分売却することができないかを検討してみましょう。
不動産や有価証券は売却するにあたっても利益に対する税金も発生するケースがありますし、売却できるタイミングがすぐとは限らない、ということがよくあります。
ただ、ご本人の住まいで高齢者専用マンションへの住み替えや介護付き有料老人ホームなどへの転居を考えている場合には生前に売却できる方が特例などは使いやすい面があります。
相続税は延納や物納と言って分割払い、モノで納める、ということができる税金ではありますが、適用するための要件は比較的ハードルが高いです。
もし相続発生後に売却することで納税資金を確保しようと考えている場合には、お元気なうちにタイミングを見つけて整理していくのもよいでしょう。
有価証券も相続人の方がまったく触れてこなかった、関わることがなかった、興味がない、となると結局売却することになりますがその時の価格は誰にもわかりません。
まずはどれくらいの財産をお持ちで相続税がどれくらいかかるか、試算をしてみるのがよいでしょう。
まとめ
ご自身の財産ですから納得できる形で相続人のかたに引き継いでもらう、できれば納税資金のことを考えておくと安心です。
納税資金がないと相続税申告の現場は大変ですし精神的にもかなり疲労するとおっしゃる方が多いので、相続税がかかるかも、というかたはまずは専門家に依頼して試算からしてみましょう。