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死因贈与契約の活用のしどころ

死因贈与契約の活用のしどころ

財産を相続人などの親族に渡す方法にもいろいろなものがあります。相続、贈与、対価のある譲渡などがそうです。

もうひとつ死因贈与契約という方法もありますのでどういうシーンで活用できるか考えてみましょう。

死因贈与契約とは、財産を渡したい方と受け取りたい方の2者でかわす契約です。

内容としては財産を渡したい方が亡くなったら財産を受け取りたい方に贈与するという、亡くなることを起因とする贈与契約で、効果としては遺贈(遺言による財産の移転)と同じイメージです。

目次

財産を配偶者側に戻したい

例えば子のいないご夫婦がいらっしゃったとして、AさんとBさんとしましょう。相続人はそれぞれは配偶者が生きていれば配偶者と亡くなった方の兄弟姉妹です。

Aさんが亡くなったら、BさんとAさんの兄弟姉妹(兄弟姉妹が死去している場合には甥姪まで)が相続人となります。

この場合、AさんはAさんが稼いできた財産とともにAさんの実家からの財産の相続があり、土地建物などA家側の財産が相続財産になり得ます。

このとき相続人はBさんとAさんの兄弟姉妹で、遺留分は兄弟姉妹にはありませんので、いったんBさんがAさんの財産を全部相続したとします。それで円満にひとまずは相続できました。

BさんはAさんがBさんと築いて得られた財産とA家の財産を持っている状態になります。

このときBさんが亡くなるとどうなるか。

Bさんが持っている財産(A家のモノを含む)はB家側の親族に相続する権利があります、たとえA家の財産であっても。

このときBさんがA家からの財産はA家の近しい親族に戻したい、と考えたとき、死因贈与契約は活用できる可能性があります。

遺言を書くことも選択肢の一つですが、ひとまずBさんはA家の財産の行き先を決めていて、受け取る側の親族も了承している場合には遺言よりもハードルが低いと考えられます。

お子さんがいない高齢のご夫婦においては似た状況が発生しがちですので選択肢の一つとして検討に入れてみるのもよいでしょう。

この例のように特定の財産を特定の人に渡したい、という場合には死因贈与契約のほうがやりやすいことがあります。

遺言を書くことに抵抗がある

遺言を書くことに抵抗を感じる、という方は一定数いらっしゃいます。比較的高い割合といってもいいかもしれません。

遺言の特徴としては財産を遺す人からの一方的なものになりますが、死因贈与契約は契約になりますので双方が納得し了承していることが前提です。

遺言はちょっとな、という場合でもお互い納得している場合には死因贈与契約なら、となるケースも意外とあります。

前段の例で言うとBさんが持っているAさんと共同で築き形成された財産についてはBさん側の親族に相続されても異論は少ないでしょう。

こういった場合にこの共同で築いたであろう財産の行き先は決まらないけれど、Aさん側の親族に戻したいものがある、という場合でそれが決まっているときには書きやすさは死因贈与契約にはあります。

遺言と違って契約ですので口頭でも成立するものですがトラブル防止のために書面に残して可能であれば公正証書にしておくこと、不動産なら仮登記しておくこともよいでしょう。

Aさん側の親族に戻したい財産の中にBさんが今もって住んでいる居住用不動産などがあると、生前贈与だと今住んでいる物件ですから抵抗感がでてきます。

生前贈与するには少しハードルが高い、という場合にも死因贈与契約は選択肢になり得ます。

ご存命の間に財産の行き先を決めて契約として残しておくことができる、というのはお互い(BさんとAさん側親族)に安心感につながるでしょう。

まとめ

相続人以外の方に財産を移転する方法のひとつとして死因贈与契約は選択肢になり得ます。

仮登記であったり、不動産取得税のことなど気をつけたい部分もありますが、遺言や生前贈与だけではないということをアタマの片隅に置いていただき検討してみましょう。

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この記事を書いた人

京都市下京区で税理士をやっています、ジンノユーイチ(神野裕一)です。
相続や事業のお困りごとを丁寧に伺い、解決するサポートをしています。
フットワーク軽く、誠実に明るく元気に対応いたします。

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