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令和3年事務年度の相続税申告の調査の状況から読み取れること

令和3年事務年度の相続税申告の調査の状況から読み取れること

国税庁から令和3年事務年度の相続税に関する調査の状況についてリリースがされました。

相続税の調査の状況についてどのような傾向があるか確認してみましょう。

目次

調査件数は本格的に増加、復調

調査件数は前年比で123.7%となっておりかなり多くなっています。件数で言うと1,200件ほど増えていてそれに合わせて非違件数も増えています。

実地調査件数非違件数
平成29年事務年度12,576件10,521件
平成30年事務年度12,463件10,684件
令和元年事務年度10,635件9,072件
令和2年事務年度5,106件4,475件
令和3年事務年度6,317件5,532件

(非違件数というのは何かしらの修正項目があったもの、というイメージでよいです)

令和元年は10,635件でしたので、それにはまだまだ及びませんが件数としては増加、復調の兆しがあります。

コロナ禍により実地での調査を控えていたことがうかがえます。

実地調査は相続人等に直接話を聞く、自宅等に伺うなどする必要がありますので、件数として抑えざるを得なかったということがあるようです。

これは相続税申告の実地調査のみならず法人個人の税務調査においても同じです。

一方で簡易な接触の事績はかなり件数を伸ばしています。

簡易な接触というのは電話のみ、書面のみで申告内容を確認する手法で、コロナ禍にあっても比較的受け入れられやすい調査のひとつです。

トータルで見るとこのような形です。

別のリリースでは相続税申告の件数について発表されていますが、亡くなった方のうち相続税申告書を提出した方は9.3%と0.6ポイント増となっています。

こちらは平成27年からの相続税の基礎控除について引き下げられたことにより緩やかに上昇しています。

土地の価格や金融資産の価格上昇に伴い課税対象者が増えいていることがうかがえます。

相続財産の金額の推移

無申告、海外資産、贈与の把握も積極的

以前からではあるのですが無申告事案に対する調査の強化がなされています。

無申告というのは申告が必要な状態であるにもかかわらず申告をしていないことをいいます。

無申告事案については申告書を出していませんので当然税額はゼロです。そこに調査が入って申告をし納税をすることになりますので、税収としては増えます。

本税に加えて加算税もありますので実地調査一件当たりの追徴税額は申告しているものを修正等する際の税額よりも大きいです。

隠ぺい仮装行為により申告書を提出していないことも想定して税務署側も事に当たることが考えられるため調査の内容としても厳しくなるようです。

財産を海外に所有しているケースも同様に調査を重点的に行いつつあるようです。租税条約等に基づいた情報交換制度を効果的に使って海外資産の補足、把握を行っていると発表には記載されています。

資産運用の国際化に伴って、海外資産の保有者も増えている状況ですが海外資産の申告漏れも今後増えてくる可能性があります。

贈与税の申告に対する調査も実施されており、コロナ禍を経てコチラも復調の兆しがあります。

特徴的なのは贈与税については無申告事案が8割以上を占めているという点です。

申告が必要ないと思っていても実は贈与でした、ということがあったり、バレないと思って無申告の状態のところに調査があった、ということが想定されます。

税務署では資産の移転について把握することができますので(金融機関への預金履歴の照会、固定資産購入者の登記簿謄本からの割り出しなど)、隠しても見つかりますし、意図的に隠していると追徴課税で加算税がかかるケースもあり得ます。

まとめ

相続税の申告事績からは実地調査は増加傾向に、簡易接触は変わらず増加傾向を維持、という状況が読み取れます。

近年は無申告事案に対する状況把握に力を入れていると言われておりますので、もし不動産や現預金をお持ちで申告しないといけないかわからない、という場合にはお近くの税務署または税理士会の相談会で一度申告の要不要を含めてご相談いただくのが安心です。

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この記事を書いた人

京都市下京区で税理士をやっています、ジンノユーイチ(神野裕一)です。
相続や事業のお困りごとを丁寧に伺い、解決するサポートをしています。
フットワーク軽く、誠実に明るく元気に対応いたします。

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