相続税対策をご提案する際に贈与を組み込むことがあります。
贈与プランを練ることから始まるのですがゴール設定をしておくのが望ましいです。私がご提案する際のゴール設定の考え方を整理してみます。
贈与をめぐる不安
贈与してあげたいけどむやみに使ってほしくない、無駄遣いしてほしくない、孫など若い親族だとお金の感覚がおかしくなってしまわないか。
こういったご相談は提案をしているときにやはり気がかりなこととしてお話される方が多いです。
確かに15歳、16歳のお孫さんに100万円単位で現預金を贈与したら、自分だったら浮足立ってしまうかもしれません。
金額の目安的なものがあるととりあえずそこまで贈与して、そのあとのことはその時考えよう、ということでもよいのではないでしょうか。
特に生前贈与加算の対象期間の延長が検討されている(2022年12月8日 記事執筆時点)状況では、今後のこともよく考えなければなりません。
かといって何もしないということも機会を逃すことにもなり得ますので、走りながら考える、ということも時には大事です。
いわゆる保険料の贈与プランも検討しておくのがよいでしょう。
(金銭を受贈したひとが贈与した人を被保険者にして保険加入。保険金の支払い時には所得税課税(一時所得))
ゴール設定はどうすればいいか
贈与を長期間にわたってずっとやり続けるというのは現実的ではないでしょうからある程度目安を作ってシミュレーションしつつ毎年検討してみたいところです。
ファーストゴール
最初のゴール目標としてお話しするのが、贈与された金銭をあまり使わないという前提ですが、相続税がひとまず払える金額ぐらいにしてはどうか、ということです。
例えばお子さんに贈与をする場合には相続でも財産を取得するでしょうから、相続税の支払いが想定されます。
現時点で想定される相続税の目安がわかればその分を目安に贈与を考えてみます。
そうすると、相続が発生したときには相続税の支払いにあてがある状態ですから安心です。
相続した金銭から相続税を支払うのではなく生前に贈与された金銭から相続税を支払いができると、払えるかどうか不安、という部分に関して軽減されます。
一年で贈与するのか、複数年に分けて贈与をするのかは財産の多い少ないにもよりますので、事前のシミュレーションが必要です。
セカンドゴール
相続財産になるであろう財産から贈与をしていきますので、相続税の計算構造を考えると税率が高いところから贈与されると見ることができます。
この場合はシミュレーションの比較として、相続税の計算上は相続税の税率が高い部分と贈与税率を比べることをしてみます。
この比較をして、贈与税率と相続税の税率が同じくらいのポイントになるまで贈与をする、というのもふたつ目のゴール設定として考えることができます。
お元気なうちに贈与を考えていただくことが多いですが、財産が減りすぎてしまうとあとでリカバリーするのも難しいです。
さらには介護付き有料老人ホームや施設に入所を考えている場合には想定以上に出費が重なることもありますし、費用も想定以上になることもあります。
まとめ
贈与は必ずやらなければいけないものではありませんので、将来の資金的に不安があるようであれば相続税を支払えればそれでOKぐらいの気持ちでいるほうが穏やかに過ごせるかもしれませんねとお伝えしています。
納税資金が相続財産から捻出できない状態だと考える必要がありますが、死亡保険金や現預金が相続財産にあって相続税が支払えるなら無理をする必要はないです。
贈与をする方される方の認識は一致させておくのが望ましいでしょう。そのうえでシミュレーションしつつ毎年検討して贈与をするかどうかも決めていくのが安心です。