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名義預金かも、という場合の検討プロセス

名義預金かも、となったときの検討プロセス

相続税申告の税務調査においては特に配偶者の財産の過多が指摘されることが多いです。

というのも税務調査で一番指摘されやすく、調査官にとってももっとも指摘しやすいのが名義預金だからです。

なので、申告書作成段階で名義預金かどうかの検討をしておく必要があり、今回はその検討プロセスについてお伝えします。

目次

個有財産の収支

まずは配偶者の収入について試算をしてみます。

年金があれば通帳などから判別できるでしょうし、何歳から何年間かで大まかではありますが年金受給期間と年金額から計算できます。

これはその配偶者の個別に有する財産の源泉です。

さらには実家からの相続等があれば財産を構成しているとみなせますのでその部分も加味します。

お元気な時には仕事をしていたということであれば仕事の内容や収入状況からも給与所得を推し量れますし、他に収入源があれば財産構成要素として集めていきます。

これによりその配偶者の相続開始日時点の収入合計金額を予測してみます。

支出も同様に確認していくことになり、流れとしては収入の把握と同じで何かモノに変わっていればそれは財産を構成します。

その配偶者から贈与があればお金としては出ていきますし、支出も丁寧に確認していきます。

生活用資金として消費していれば概算でもよいので確認し、収支を計算してみるプロセスが必要です。

これにより計算してみた概算の収支と相続開始時点の財産との比較をします。

相続開始時点の財産のほうが多いということであれば贈与があったのか、なかったのか、名義預金かも?という推測をしつつ次の検討ステップに進みます。

相続開始時点の財産のほうが少ない、ということであってもモノに変わっていたり何かを購入したりサービス提供を受けていないかなどをチェックします。

どちらのほうがより注意が必要かというと、やはり概算収支<相続開始時点の財産の場合です。

この場合はご本人の収入を超えて財産が手元にある状態と推認できますので、その超えている部分は特に財産の出どころを検討してきます

財産の出どころ、贈与か貸付か

名義預金かどうかの検討のポイントとしては以下のようなものがピックアップされます。

  • 贈与の成立(贈与契約書等の存在)
  • その資金の出捐者は誰か
  • 口座の管理状況(通帳や印鑑)
  • 口座の開設者(口座開設時の書類作成者)
  • 被相続人と配偶者の資金移動
  • その預金の処分権者は誰か

などの要素があり、これらのうちどれかに該当すると、即名義預金というわけではなくあくまで総合的に判断します。

配偶者がこれは自分の個有の財産だ、というのであれば財産の出どころをやはり確認していくことになりますし、被相続人からの贈与だという場合もあれば貸付だと考えていることもあるでしょう。

どのような主張を配偶者が考えているかによって検討プロセスも枝分かれしていきます。

贈与というのであれば贈与契約や贈与税申告(参考程度なので贈与契約書よりはポイントが低いですが)などがあるか。

実際の資金移動は確認できるか、そういうことを被相続人および配偶者の財産の構成及び移動から推認していきます。

貸付というのであれば返済実績があるかどうかは大きなポイントです。夫婦間、親族間であれば利息まで取らなくてもよいと考えていますし通常は利息を取るケースは少ないです。

それよりも返済をしているかどうか、しているとしても無理のない計画になっているかどうかというのが大切です。

貸付であれば被相続人からすると債権に該当しますので相続財産じゃないか?となりますし、贈与だとしても贈与税の申告をしていないケース、贈与税額のほうが結果的に高くなってしまうことも考えられます。

実際のところどういう認識だったのか、というのは被相続人からはもう聞けないわけですので、配偶者や世話をして身近にいる相続人、親族からヒアリングをしていき判断材料を集めていきます。

かつては自動振り替えなどを夫婦間で行ったりして相続対策だというようなことを金融機関の窓口で推し進めていることもあったようです。

銀行の窓口でそういわれると高齢の方はじゃあやっておこうかと軽い気持ちでやるわけですが、いざ名義預金の判定にあたっては贈与かどうかも含めて金融機関は絶対に判断をしません。というか判断できません。

そんな無責任なと思うかもしれませんが、金融機関というのはそういうものですので。

名義預金かも、ということを素直にお伝えする

やはりこの辺りの名義預金として計上するかどうかの判断は難しいものがあります。

特に配偶者のかたには名義預金が発生しやすいのですが、ご納得いただけるかどうかはまた別問題だったりしますので。

私がよくお伝えすることとしてはやは配偶者のかた名義の財産は出どころを確認されるので明確に説明できるかどうか。

また、専業主婦でしたということであれば財産の収入源としては大きくは年金担ってくるかと考えていて、それを大幅に超える財産をお持ちだと税務署側も相続人の財産内容はチェックしてきますので「おや?」となります。

専業主婦で5,000万円も財産があると通常は「その財産はどこから生まれたんですか?」となるのは自然です。

配偶者以外の相続人のかたでお仕事をしているかただとイメージが付きやすく、そういう方が同席している場で配偶者の方に財産の概要、金額をお話をしてもらうと「お母さん、なんでそんなに財産があるの、ビックリした」と言われることも多いです。

名義預金かもしれないと税理士として感じたときにはやはり素直にお伝えして、どういう対応をしていけばよいかをさらに打ち合わせをしていくほかありません。

まとめ

どこまで当初申告で名義預金を反映させるかはやはり申告に対する感じ方、税務調査への対応でも変わってきます。

相続税申告の税務調査は絶対に避けたい、安全に申告をしたいというお客様からのご要望というのはやはり多いですし、そういう場合は折り合いが付きやすいです。

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この記事を書いた人

京都市下京区で税理士をやっています、ジンノユーイチ(神野裕一)です。
相続や事業のお困りごとを丁寧に伺い、解決するサポートをしています。
フットワーク軽く、誠実に明るく元気に対応いたします。

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