不動産を売却したときにどういうことが「売却のあとで」発生するか整理してお金と心の準備をしておきましょう。
売却益に対する税金
不動産を売却したときには売却益があるかどうかをまず確認します。
売ったときの価額のほうが、買ってきた(または相続した)価額よりも高い場合には売却にあたって利益がでます。
ざっくりとした内容ではありますがこの利益に対して税金がかかります。
売ったときの価額は直近ですので分かりやすいですが、ポイントは買ってきた(または相続した)価額です。
自分が購入したものであれば購入時の契約書をもとに計算をします。計算というのはその不動産に建物が含まれている場合には時の経過により価値が減少するはず、ということで減価償却の計算手続きがはいります。
土地建物を含めて買ってきたときと同じ価額で売却したとした場合には一見すると利益が出ていないように見えますが、建物の減価を考慮すると利益が出る可能性があります。
ここの判定はとても大事です。
また相続した不動産を売却した場合には一番最初に買ってきた価額を引き継ぎますので、相続したときの価額ではないということにも注意が必要です。
一般的な感覚とのズレが生じやすい部分が買ってきた価額の計算の仕方ですので、微妙だなという時には税理士に相談もしくは税務署で相談をしたほうがよいです。
不動産売却の利益に対する税金のかけ方は申告分離課税といって、年金や給与などとは違う計算の仕方をします。
簡単に言うと税率は別で計算をするということです。
長く保有している不動産の場合(売った年の1月1日時点で5年超保有)だと所得税、住民税合わせて20%、それより短い場合には約40%が利益に対してかかるというざっくりとした理解でよいです。
他にも居住用の不動産を売却したりすると特例が使えるケースがあり、その場合には税金の金額が変わります。
不動産の売却から申告まではタイムラグがあることがありますので、利益に対してどれくらい税金がかかりそうか試算しておきましょう。
なぜなら年明け確定申告の時に納税資金がないと困りますので、ある程度手元に置いておく必要があるからです。
納税は基本的に待ってくれませんので申告まで時間がある場合にはある程度余裕を持った納税資金の確保をしておくことをオススメしています。
国民健康保険料のアップ、窓口負担割合の上昇
不動産の売却にともなう利益がでていて確定申告をしていますので所得は増えます。
そのため所得が増えることによる影響がほかのところにも出てきます。
そのひとつが国民健康保険料のアップです。前年の所得に応じて保険料の算定が行われます。
そのため、納税と一緒で売却からタイムラグが発生することになり、保険料が高い状態が遅れてやってきます。
高額で不動産を売却し利益がたくさん出ている場合には保険料も跳ね上がることがありますので注意が必要です。
売却して利益が出ている次の一年間は保険料が高くなります。
また後期高齢者のかたですと負担割合が1割から2割、3割になったりしますので病院の窓口負担が大きく変わることもあり、その点も注意点です。
まとめ
不動産の売却も高齢になると認知機能の問題で難しくなることがありますので、判断能力がしっかりあるお元気なうちに検討しておくのが望ましいです。
もし施設に入るなどを予定している場合には所得による施設利用料なども所得に関係することがありますし、いろんなところに影響が出てきますので事前にどれくらい税金が発生するか保険料があがりそうか、ということはシミュレーションしておくのがおすすめです。