法人成り・法人化のご相談を定期的にスポット相談や既存のお客様からいただいております。
個人事業主・フリーランスから法人組織にすることを法人成り、法人化と呼びますが、考えておきたいことが変わってきているので整理しておきましょう。
法人って?会社って?
法人は会社組織でいろんな種類がありますが、人格を持たせると難しい言葉では表現したりします。
自然人以外の法律によって「人」として取り扱われるもの、と考えておきましょう。権利義務が発生するとかいろいろと発生しますがひとまず横に置いておきます。
法人を作った、自分の個人事業を法人でやるようにした、という場合の違いとしては、法人にはオーナーがいて経営者がいる、ということ。
出資するというと堅く感じますがその法人のオーナー、つまり株主や持ち分を持つ人が必要です。
資本金でもって出資してオーナーになります。経営者は法人で決めることになりますが、中小企業やスタートアップなどのスモールビジネスだと、オーナー=経営者なことが多いです。
むかしはオーナーも7人いないとダメ、みたいなルールがありましたが今は何人でも構いません。
ここではフリーランスのかたが法人成りすることを考えていますので、オーナー=経営者と捉えておけば大丈夫です。
法人にすると法人から役員に役員報酬(給料みたいなもの)を支払うことができますので、個人事業主としての所得税や社会保険料(国民健康保険料や国民年金保険料)と法人の利益にかかる税金、支払う社会保険料、などなど比較すべきことがたくさんあります。
それとは別に、お伝えしていることがあって、それはルールが増えますよ、ということ。
個人事業主であれば所得税の確定申告をすればよかったので、ルールは所得税のルールです。
それが法人になると法人税のルールに、会社運営上のルールとして会社法のルールが乗っかってきます。さらに言うと役員報酬や給与を支払えば所得税のルールも。
ルールが増えると管理をする必要がありますし、法人化すると人を雇うことが多いので、そうなったときには労務環境の整備として就業規則や給与計算規定などを整備していく必要が出てきます。
決めること 考えること
法人化、法人成りをするにあたっては決めていくことがたくさんあります。ルールもたくさんありますのでそれに沿っている必要があるということです。
会社の事業目的、資本金、事業年度
会社の事業目的を決めて資本金を設定し、事業年度(会計期間、通常は一年)を決めて会社のルールブックであり設立時に必要な定款を作ります。
法人の設立時には専門家(司法書士)に依頼することになりますが、内容を決めるのはオーナーです。
税金に関わる部分もありますので税理士とも相談しつつ決めていくことが大事ですし、業種によっては資本金がいくら以上というのも決まっています。(建設業許可を取りたいなら500万円以上とか、派遣会社なら2,000万円以上とかあります)
消費税(インボイス含む)
消費税の課税事業者になるかどうか、インボイス登録をするかどうかは大きく税金や資金繰りに関わってきますので慎重に考えたいところです。
例えば対消費者ビジネスであれば消費税の課税事業者に自動的になるまでは免税事業者でも問題はなさそうです。(塾やフィットネスクラブなど)
法人は個人事業主時代の売上等で消費税の課税免税を決めませんので、以前は2年間フルに免税事業者になれるということで法人成りのメリットでもありました。
インボイス登録をすると課税事業者になりますので、この辺りをどうするかはよく検討する必要があります。
役員報酬
設立してから3か月以内に最初の役員報酬を決めます。
役員報酬はオーナー=経営者ですから自分で決められるわけです。ただしそれができると法人の利益を出さないように調整し放題ですから、経費になる役員報酬にはルールが厳しく設定されています。
役員報酬でご自身の生活費を賄っていくことになりますのでご家族との相談も欠かせません。(家にいくら入れる、みたいな約束があることが多いからです)
事業用資産の移転
事業用に使っている資産があるのであればそれを引き継ぐのかそれとも新たに購入するのかなども決める必要があります。
個人事業主のかたが既に消費税の課税事業者の場合には法人への譲渡とした場合には消費税の課税対象になりますので注意が必要です。
借入金の引継ぎ
借入金がある場合には法人で引き継ぐにあたっての注意点が、引き継ぐ方法によって変わってきます。
まずは法人側で借入を引き継げるのか、現状の試算表や返済状況、事業計画などを材料にして改めて協議が必要です。
多額になればなるほど注意が必要になってきます。
ざっと決めること、考えることを挙げてみましたがひとりで決めるのはやはり難しい部分もあるでしょうから、専門家のサポートを受けていただくのがよいかなと考えています。
法人成り・法人化のデメリットを把握したうえでもやりたいかどうか
法人成り・法人化にもデメリットはあります。
専門家報酬がかかる(設立時の司法書士費用、税理士報酬、社労士報酬)
赤字でも法人税がかかる
社会保険料がかかる(労使折半で会社側でも負担額が増える)
といったことが挙げられます。
以前は法人化したほうが税金計算上有利というのがありましたが、前述の消費税の兼ね合いもあり、税金計算上の有利不利が法人化の動機になりづらくなっています。
法人化するにあたって、法人組織でやりたいことがある、会社として事業を大きくしていきたい、従業員を雇用するにあたって法人のほうがよい、などそういうことがあるのであれば法人化を検討していくのがいいでしょう。
数字で確認できる部分はチェックしつつ検討し、ご自身の進みたい方向性を決めていくことになります。
どういう風に会社をやっていくのか、どういうことがしたいのか、数字というファクトでの客観的判断と、自分のやりたいことという主観的判断を両輪でとらえてみましょう。
まとめ
事業を法人化、法人成りしたいというご相談があると法人には法人のルールがあって、個人事業主とルールが違いますので検討すべきこと、決めることがたくさんあります。
どう進めていくか計画などを作りながら数字のファクトもチェックしていきましょう。