不動産の贈与や相続税申告、中小企業の株価計算で会社が土地を持っている場合には土地の財産評価があります。
いわば相続税や贈与税などを計算するための土地の価格計算なのですが、書面上の情報だけで評価すると間違えるもとです。
現況を確認することの重要性について整理しておきます。
土地の現況とは
土地の現況とは現在の状況という意味もあり、現場の生の状態という意味もあると私は考えています。
土地の形状は特に土地の状態を表しますがそれ以外にも確認すべきことはたくさんあります。
例えば土地の間口、道路にどれくらい接しているか、騒音や振動はないか、といった土地の状態もあれば、土地が存在する場所の情報もあります。
市街化区域なのか市街化調整区域なのか、接している道路の種別、高圧線が上に通ってないか、などは土地が存在する場所の情報です。
さらに土地を評価する際に最も気を付けるべき、確認しておきたい情報として、どういう使われ方をしているか、という現況の確認があります。
登記簿謄本上は宅地になっていても実際は建物がなく更地で駐車場として貸し付けている場合はどうでしょうか。
現況は駐車場ですが登記簿謄本上は宅地、情報に違いがあります。
相続税申告などはその課税時期の現況で判断する、実態はどうか、という点が重視されます。
登記簿謄本の情報はあくまで登記したときの話であって、そこから年月が経過していると使われ方も変わってくるものです。
所有者が変わったり、使われ方が変わっているのに、登記簿謄本上だけで土地の現況、使われ方を判断すると評価額に大きな影響を及ぼします。
土地の現況を確認しないと発生するミス
前述のように登記簿謄本上は宅地という記載があるけど、現況は駐車場だった、というケースはよく見かけます。
駐車場の場合は雑種地という地目で財産評価を行うことになりますが、ではその駐車場を貸しに出している場合はさらに影響がでてきます。
誰にいくらで貸しているのか、マンションの敷地内ならマンションの住人専用の駐車場なのか、アスファルト敷きがされているのか、所得税の確定申告はしているのか、といったことの確認事項が増えてきます。
また相続税計算上の特例である小規模宅地の特例の適用を検討する際にも現況を間違えると適用区分を間違える可能性があり、税額への影響が大きいです。
ほかにも登記簿謄本上は宅地で課税されているけれど現況を確認したら雑木林になっていて市街地山林だった、というケースなどがあります。
こういった場合だと市街化区域内であっても純山林で評価をしたほうが良いケースもあり、さらに財産評価額への影響が強く出てきます。
土地の評価で現況を確認しないことは、相続税額等が高くなるリスクがあり、それだけで納税者不利の財産評価をしているともいえるでしょう。
マンションの敷地権をお持ちの場合で複数の土地に設定されている場合には全体像の把握も大切です。
広大な敷地のマンションや団地だと、必ずしも隣接している土地どうしに敷地権設定されているわけではないからです。
現況の確認方法
現況の確認としてはやはり現地に赴くこと、足を運んでみることです。
私の場合は前段階で、相続人のかたなどから利用状況のヒアリング、Googleマップ、住宅地図で確認、測量図がある場合には簡易に財産評価を蔭地名人(土地評価サポートのソフトウェア)、現地確認をして現況を整理、財産評価に反映、という流れです。
ただし、全ての土地に足を運べるかというと費用対効果の関係でそれが難しいケースもあります。
例えば相続人や税理士が活動の中心としているところからかなり遠方の場合は、現地に行くための旅費交通費、日当などとを鑑みて、現地確認をしないで財産評価をすることを相続人のかたと合意する、ということもあります。
この場合はなるべく現地に行ったときと同じ情報を集め、可能な限り適切な評価内容になるよう努めます。
こういったことの判断も必要な場面が出てきますが、まずは基本に立ち返って、現場に行って見てみるということが最も大事ですし重要です。
まとめ
土地評価における現況確認についてお伝えしました。
机上だけで評価がおわるのであればだれも困りませんし、税理士によって評価額が変わるみたいなことも起こりません。
現況を確認して実態に即した適切な評価をしていきましょう。