事業を行っている場合には帳簿関係の保存と証憑(しょうひょう)書類の保存が必要です。
証憑とは取引の内容を確認できる書類のことで、納品書、請求書、領収書(レシート含む)などが該当します。
いかに証憑を集めるか、取引を整理整頓をするか、込み合った流れを整えてみましょう。
売上に関する整理
売上の入金口座はひとつでしょうか?
出来れば一つにすることをオススメしています。というのも複数の口座に売上が入金されるといちいち毎回確認をしなければいけないからです。
よくあるパターンとしては、取引先の求めに応じて預金口座をたくさん作ってしまい確認にに時間がかかるというもの。
京都では例えば以下のようなことが起こり得ます。
A社:京都銀行
B社:京都中央信用金庫
C社:京都信用金庫
が取引先それぞれのメイン取引金融機関だったとします。
するとこんなことを依頼されるわけです。
振込手数料を抑えたいので取引する際にはメイン行で口座開設してほしいと。そうでなければ振込手数料を差し引いて振り込みますと。
そもそも取引金額から勝手に振込手数料を差し引く行為は民法上は費用の負担者、つまり支払者が負担するものとされています。
取引先とのパワーバランスなどもあるかと思います。ただ原則としては振込手数料を差し引くのはやってはいけないことだと頭の片隅に置いておきましょう。
それはさておいても、悪しき商習慣として振込手数料を取引金額から差し引いて振り込む処理は散見されます。
差し引くことは今後インボイス制度が始まると処理としてはかなり煩雑になりますので、その処理を見直してもらうことが必要です。
請求書に「振込手数料は御社の負担でお願いします」と書くだけでも効果がありますし、契約書に明記しておくのがよいです。
振込手数料を差し引かれることを防ぐことをしつつ、こちらも振込手数料を差し引いて振り込むことをやめましょう。
そして売上金額が入金される口座を整理していくこともやっていきましょう。
あちこちにばらばらにしかも手数料を差し引かれて、となるとそれだけで煩雑です。
決済方法を絞る
経費の支払い方法を絞ることは整理整頓につながります。
整理整頓につながると帳簿付けそのものがやりやすくなる、というメリットもあります。
例えば私を例にすると
現金で支払う経費は基本的にない
キャッシュレス決済で経費の支払いをしない
クレジットカード決済がメイン
振込はいくつか
という内容にしています。
事業用のものを現金で払うシーンとしては顧問先を訪問した際などの駐車場代ぐらいです。
公共交通機関を使う場合にはICOCAを使っていてクラウド会計ソフトに連動しています。
スマホでPayPayを使うことが多いですが全部プライベートのものです。経費を支払ってしまうと領収書やレシートなどが面倒だからです。
支払方法を決めておくとチェックする項目が固まります。
また事業者のかたのなかにはクレジットカードを何枚も持っている、ということがあります。
それぞれで経費を支払ってしまうとかなり面倒ですし、クラウド会計ソフトでも連携していないカードもあります。
クレジットカードはいま2枚使っていますが1枚が経費用、もう1枚がプライベート用ということにしています。
引き落しできるものは引き落しを選択しますが、クレジットカード支払ができるものがとても多いのでクレジットカードでの支払いをメインにしています。
カードも増えすぎると管理が煩雑なので削れるものがないか整理整頓してみましょう。
ノートにレシートを貼る必要はある? 流派の話
時々聞かれるのがレシートをノートなどに貼る必要があるか?ということですが、私は貼る必要はないとお伝えしています。
この辺りは税理士それぞれの考え方や流派のようなもので、貼ってほしいという税理士がいれば貼ってほしくないという税理士もいます。
後で見返す必要はないと考えていますので、入力等の処理が済んだら月ごとの封筒に入れるのみです。
レシートの整理関係は本当に好みが分かれますが保管出来ていればいい、と私は考えています。
ご自身の考え方に合わせて保管の方法を考えていただければと。
また今後は電子帳簿保存法の関係もあるのでスキャンしてデータで保存することなども選択肢に入ってきます。
ご自身のやり方にフィットする方法で効率化できるように整理整頓してみましょう。
まとめ
証憑の整理は取引の方法、帳簿付けの効率化につながります。
インボイス制度や電子帳簿保存法が始まると経理の上流から整理をしていく必要が出てきます。ぜひ一度見直してみましょう。