確定申告が終わってほっと一息ついている、という方も多いのではないでしょうか。
個人事業主・フリーランスの方ですと今の時点だともう今期、2022年は始まっています。無事に終わってひとしおかもしれませんが、今期の帳簿付けもそろそろ手を付けておきたいところです。
確定申告が終わった後の帳簿付けの注意点について解説をします。
決算整理仕訳の翌期開始時
決算整理仕訳というものを前期末の決算の際におこなっているはずです。
そんな仕訳入力したかな?とおもうかもしれませんが以下のような仕訳がそれに該当します。
前払費用、未払費用、前受収益、未収収益というものです。
前払費用はまだサービスの提供やモノが手元に届いていないけれどおカネを支払った状態の費用になる前のものです。
未払費用は前払費用とは反対にサービスの提供やモノが手元に届いているけれどおカネはまだ払っていない状態のすでに費用になっていて、支払いまえのもの。
前受収益はおカネをすでに受け取っているけれどサービスの提供はモノの引き渡しはまだのもので、売上計上はまだでおカネが手元にすでにある状態。
未収収益はサービスの提供やモノの引き渡しは完了しているけれど代金の受け取りはまだのもの。
という大きな区分に分けられます。
前期末の決算においてこれらが計上されている場合には今期の入力の際には注意が必要です。ひとつずつみていきます。
前払費用
おカネは払っているけれどまだ費用になっていない項目です。つまり取り崩していく必要があります。
例 2021年12月に翌年10月分までのソフトウェア利用料を支払った
12月 (※短期前払費用のことはいったん置いておきます)
(前払費用)/(普通預金)60,000円 ソフトウェア利用料10か月分
1月から10月
(支払手数料)/(前払費用)6,000円 ソフトウェア利用料
という形で処理をします。
年明けに前払費用の全部を各月に振り分けてしまってもよいでしょう。1/1から10/1まで10か月分を最初に振り分けておくとあとで処理を忘れなくて済みます。
未払費用
年末に計上して年明けに費用を支払った項目ですので年明けの支払い時に経費にしない、というのがポイントです。
例 消耗品を購入したが代金が未払いの状態で年を越した
12月 (消耗品費)/(未払費用)15,000円 事務所文房具
1月 (未払費用)/(普通預金)15,000円 未払費用支払い
のような形です。
前受収益
おカネを受け取っているけどサービスの提供がまだの状態で年を越した場合です。
例 セミナー参加費用を事前に受け取って年を越した
12月 (普通預金)/(前受収益)25,000円 1/25セミナー受講料前受分
1月 (前受収益)/(売上高) 25,000円 前受収益振替
となります。
未収収益
サービスの提供は完了しているけれどまだ代金を受け取っていない状態で年を越しました。
12月 (未収収益)/(売上高) 55,000円 顧問料未収分
1月 (普通預金)/(未収収益)55,000円 顧問料受取
未収収益は売掛金という項目で処理をされることも多いです。
4項目を見てきましたがおカネの出入りと収益費用計上のタイミングがズレているものは特に注意が必要です。
会計ソフトのメンテナンス
決算整理の項目の処理が完了したら会計ソフトのメンテナンスも少し気にかけておきましょう。
例えばデータ連携をしている場合にはもう使っていない項目があれば削除した連携を停止してもよいでしょう。
こういった細かい部分はあまり気にする機会がないので決算が終わったタイミングなどに自分で見てみる機会を設けるのがよいです。
あとは補助科目の整理もやってみましょう。
毎月あるものであれば経費について分類してみる、売上も分け方を考えてみるようにしています。
私の場合でいうと経費は支払手数料関係が多いので分類を細かくしています。
また売上も顧問や確定申告、スポット相談、相続業務などの業務の種類に応じて分類していて見直しもしています。
仕事を続けていくとその事業の中身が少しずつ変わっていくこともあり、こうした分類も変わってくることがあります。
ちょっとずつメンテナンスをしていくことでより帳簿付けの精度を上げていきたいところです。
まとめ
決算期末の処理は気を付けている方が多いですが年明け後の経理、帳簿付けにも影響することを把握していな方もいらっしゃいます。
特に支払ったものは経費として計上と覚えていると未払のものは前期に経費になっていますので二重計上でダブってしまいます。
決算整理仕訳を入力した際には年明けの処理を注意しましょう。