こんにちは、京都の若ハゲ税理士ジンノです。
祖父母から孫の教育費や習い事の資金のサポートを受ける機会があるかと思います。この祖父母からの資金援助について税金面からの解説をします。
扶養義務者からの贈与
祖父母から孫の教育費や生活費について資金援助することはよくあることかと思います。
こういったことすべてについて贈与税を課税することについては社会通念上理解を得難いでしょう。
通常必要と認められる範囲であれば扶養義務者からの生活費や教育費の贈与であれば非課税とされています。
だからといってなんでもかんでも良いかというとそういうわけではないです。
まずは用語の意義から確認します。
扶養義務者とは
次の者とされています。
配偶者
直系血族及び兄弟姉妹
家庭裁判所の審判を受けて扶養義務者となった三親等内の親族
三親等内の親族で生計を一にする者
※なお、扶養義務者に該当するかどうかは、贈与の時の状況により判断しま
す。
(国税庁ホームページ 「扶養義務者(父母や祖父母)から「生活費」又は「教育費」の贈与を受けた場合の贈与税に関するQ&A」について(情報)より抜粋)
祖父母からみると孫ですと直系血族ですので扶養義務者に該当します。
生活費、教育費とは
続いて生活費、教育費は次のような内容とされています。
「生活費」とは、その者の通常の日常生活を営むのに必要な費用(教育費
を除きます。)をいいます。また、治療費や養育費その他これらに準ずる
もの(保険金又は損害賠償金により補てんされる部分の金額を除きます。)
を含みます。
「教育費」とは、被扶養者(子や孫)の教育上通常必要と認められる学資、
教材費、文具費等をいい、義務教育費に限られません。
(国税庁ホームページ 「扶養義務者(父母や祖父母)から「生活費」又は「教育費」の贈与を受けた場合の贈与税に関するQ&A」について(情報)より抜粋)
生活費は日常生活を営むのに必要な費用で病院の治療費なども含まれます。また教育費は義務教育費に限らず教育上必要となる学費や教材費、習い事の費用などが含まれます。
通常必要と認められる範囲とは
贈与を受けた者(被扶養者)の需要と贈与をした者(扶養者)の資力その他一切の事情を勘案して社会通念上適当と認められる範囲の財産をいいます。
(国税庁ホームページ 「扶養義務者(父母や祖父母)から「生活費」又は「教育費」の贈与を受けた場合の贈与税に関するQ&A」について(情報)より抜粋)
社会通念上適当の範囲を数字で表すのは難しいのですが、大きく逸脱していない範囲ということになるでしょう。
注意点
扶養義務者からの生活費、教育費と言ってなんでもかんでも大丈夫、というわけではもちろんないです。
注意点がいくつかあります。
都度で行うこと
例えば大学に入学するのに入学金が80万円かかります、みたいな場合に祖父母から援助してもらうとします。
大学に入学する前年に渡しておくというのはやめておきましょう。
必要な都度直接に贈与を受けたものについてこのルールが適用されますので、支払の必要がある都度で資金援助するようにしましょう。
一番良いのは振込用紙や請求書等を祖父母に渡して支払ってもらうという流れが間違いが起こりにくいです。
一括で渡さないこと
大学入学時に大学の学費4年間分をまとめて入学時に渡すというのも間違いです。これは必要な都度直接負担したり渡していないことになります。
このようなおカネの渡し方をすると一括で渡しているものとして通常の贈与に該当し贈与税の課税対象となります。まとめて渡さないようにしましょう。
もしまとめて教育費について贈与をしたいという場合には教育資金一括贈与制度がありますのでそちらの活用を検討します。(手続等が少し煩雑です)
余らせない、他のことに使わない
生活費として資金的なサポートをしているのにそれが預貯金に回っていたり、他の使途(例えば不動産や株式の購入)にあてられている場合にはその該当する部分については通常の贈与とされます。
結婚や出産にあたり必要な物品の購入や式の費用についての資金援助も贈与税の課税対象に該当しません。
まとめ
社会通念上という言葉が入りますが通常の範囲であれば祖父母から孫への教育や生活の資金援助は贈与税の課税対象とはなりません。
ただし、注意点もいくつかありますので注意しつつ、またまとめて教育費を渡したいなどがあれば別の特例贈与を利用することも選択肢に入ります。