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税制改正要望の上場株式等の相続税に関する見直しについて

上場株式の相続税評価

こんにちは、京都の若ハゲ税理士ジンノです。

税制改正大綱が12月に発表される前に各省庁から税制改正についての要望が財務省に提出されます。

そのうち相続に関するものをひとつピックアップして解説をします。

 

目次

税制改正要望とは

税制改正大綱は12月に税金の計算の仕組み等で改正や変更、新設を予定している内容をまとめたものです。

この大綱をまとめるにあたって各省庁から要望が出されて、いわゆるたたき台となります。

 

すべての事項が税制改正大綱に反映されるわけではもちろんなくて、取り上げられるものもあればそうではないものもあります。

 

期限のある租税特別措置法に基づく内容のものであれば延長が要望として出されたり、税の在り方として課題があるものについて新設が要望されたりします。

 

改正要望は各省庁から財務省に提出されてそれが財務省ホームページに掲載されていますので誰でも見ることができます。

 

令和4年度税制改正要望

 

このなかからひとつ相続に関する改正要望を取り上げてみます。

 

上場株式等の相続税に係る見直し

こちらの要望は最近はずっと金融庁から要望が出されているものでそろそろ採用されてもいいように個人的には考えています。上場株式等の相続税評価の方法についての見直し要望です。

 

現状

現状をまずは整理しておきます。

上場株式等、いわゆる市場価格が分かるものについてはその市場価格を元に相続税評価額(相続税を計算するための価額の算定)を行います。

 

上場株式であれば

・亡くなった日の最終価格
・亡くなった日の属する月の最終価格の平均
・亡くなった日の属する月の前月の最終価格の平均
・亡くなった日の属する月の前々月の最終価格の平均

の4つの価格のうち一番低い価額を用いて計算できます。
(亡くなった日が市場があいていない日(土日祝)の場合には一定の修正が加わります)

 

例えば今日が亡くなった日(11月18日)であれば

11月18日の最終価格
11月の最終価格の平均
10月の最終価格の平均
9月の最終価格の平均

の4つから最も低い価額を選んで株数を乗じて計算をします。

 

問題点

これの何が問題かというと、相続があったときの価格と実際に申告をする際、納税をする際の価格が異なることがあるということです。

 

価格が上がっているのであれば別に問題にはならないですが、下がっている場合には損したと思うでしょう。

 

申告をし納税をするタイミングで価格が上がっているか下がっているかは正直誰にもわかりません。

 

大きく価格が下がっている場合には、株式を処分して納税をしようと考えている場合に足りなくなる可能性もあるわけです。

 

なによりも株式の価額が高い時点で相続税が計算されて納税のときには下がっているので負担感が増してしまいます。

 

相続税の申告期限は相続開始があったことを知った日の翌日から10ヵ月以内と期間が長くなりますので価格変動は当然起こり得ます。

 

そのための実務上は株式を売却した対価で納税をするつもりであれば価格が下落することも織り込んでおいたほうがいいとお伝えすることが多いです。

 

生前からのサポートであれば相続人の方が株式投資にまったく縁がなくてどのように対処してよいかわからない場合などには、生前の財産整理の一環で株式を売却しておくこともお伝えすることがあります。

 

上場株式の財産評価の方法が株式を保有することを妨げていると言われると確かにそうなっているとも言えますのでこの点が問題だとして要望がとなっています。

 

まとめ

上場株式の相続税計算上の評価方法については以前から価格の変動を考慮されていない点が問題とされていました。

今回の改正要望で採用されるかはわかりませんが、税制改正大綱に注目してみましょう。

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この記事を書いた人

京都市下京区で税理士をやっています、ジンノユーイチ(神野裕一)です。
相続や事業のお困りごとを丁寧に伺い、解決するサポートをしています。
フットワーク軽く、誠実に明るく元気に対応いたします。

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