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生命保険の非課税枠の活用と注意点

相続対策

こんにちは、京都の若ハゲ税理士ジンノです。

相続税の対策のご相談をいただいたときに死亡保険金の非課税枠の活用をご提案することがあります。

その際の税金への影響と注意点を解説します。

 

目次

もし非課税枠を活用したら

生命保険の非課税枠という計算方法があります。500万円×法定相続人の人数で計算した金額は相続税を非課税とします。

 

配偶者と子が2人の合計3人の法定相続人でしたら1,500万円までは亡くなった方についての死亡保険金について非課税として計算することができるということです。

 

相続税の対策でサポートをする際に保険に全く加入していないご家庭もあり、いろんな考え方があるかと思いますが実際に活用したらどれくらいになるかというのは数字でお見せするとよく分かるかと思います。

 

相続人は配偶者と子2人の3人 相続財産が不動産1億円 現預金5,000万円として試算してみましょう。

 

生命保険に全く加入していない場合の相続税計算(法定相続分で相続し配偶者の税額軽減を受けたものとして)

1億5,000万円-4,800万円=1億200万円
1億200万円×1/2=5,100万円
1億200万円×1/4=2,550万円

5,100万円×30%-700万円=830万円
2,550万円×15%-50万円=332万5千円

830万円+332万5千円×2人=1,495万円
1,495万円-1,495万円×1/2=747万5千円

となりました。

 

単純に現預金5,000万円から生命保険として1,500万円を拠出し、半分ずつを子が受け取るということにした場合の相続税計算(法定相続分で相続し配偶者の税額軽減を受けたものとして)

1億5,000万円-1,500万円=1億3,500万円
1億3,500万円-4,800万円=8,700万円
8,700万円×1/2=4,350万円
8,700万円×1/4=2,175万円

4,350万円×20%ー200万円=670万円
2,175万円×15%-50万円=276万2,500円

670万円+276万2,500円×2人=1,222万5千円
1,222万5千円-1,222万5千円×1/2=6,112,500円

となります。(端数処理は省略していますので納税額が100円ズレます)

 

詳しい計算の詳細は割愛させていただきますが、税金の差額は136万円程となっています。

これは現預金が生命保険の非課税枠に組み変わったことによる効果です。

 

相続財産の価額が大きければ必然的にこの税金の差額は税率が上がることにより大きくなります。

 

保険が嫌いというご家庭も一定数ありますがこのように数字をお見せすると少し考えるキッカケにもなりますが注意点もあります。

 

注意点

現預金を生命保険にいわば組み替える方法ですが注意点がいくつかあります。

 

遺産分けの対象ではない

まず死亡保険金は遺産分割の対象外の財産だということが注意点の一つ目です。

 

これを知らないと受け取った死亡保険金を相続人で受取割合と異なる割合で分けてしまった場合には贈与となります。

 

余分な贈与税を支払うことになりかねませんので注意が必要です。

 

生命保険金は受取人固有の財産だ、と専門的には表現するのですがじゃあ死亡保険金は相続財産じゃないのでは?という疑問が湧いてくるかと思います。

 

その疑問はとても自然な発想で民法においては死亡保険金は相続財産ではないのですが相続税法においては相続税がかかる財産、みなし相続財産として規程されています。

 

民法と相続税法で取り扱いが違うんだなぐらいの感覚で捉えていただければと。

 

また非課税枠があるのはその死亡保険金で亡くなった後の生活等を保障する意味合いもありますので全部に課税するのはちょっと違うんじゃない?という社会的配慮があるとわたしは考えています。

 

相続税の計算上は配偶者やこのような死亡保険金については社会的な配慮に基づく特例措置がありますのでできれば活用したいところです。

 

手許の現預金は減る

当然ですが現預金を生命保険に組み替えているわけですから現預金は減ります。

 

亡くなった後に亡くなった人が生命保険に加入することはできませんので、ご存命の間に生命保険に加入をすることになります。

 

その際にいまの家計に大きな影響を及ぼすなら無理をしなくてもいいんじゃないか、というのが注意点の二つ目です。

 

人間の生き死にというのは「いつ」がわからないものでもあります。これから先が長くなるか短くなるかもわからないわけです。

 

お医者様からそういうお話があればまた別ですが、そうではないということならいまの生活の質を落としてまで生命保険に加入する必要はないと考えています。

 

税金が安くなることそのものよりもいまの生活でお金の心配をせずに穏やかに過ごせるほうがQOLは高くなるのではないでしょうか。

 

なのでご提案することはあっても必ず余剰資金で実行していただくようにお伝えしています。

 

まとめ

生命保険を活用することは相続対策においてよくあることですが有利な面もあればもちろん注意点もあります。

 

無理のない範囲で出来ることをコツコツやっていくのも大切ですし、いまの生活を充実させることも大切です。

 

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この記事を書いた人

京都市下京区で税理士をやっています、ジンノユーイチ(神野裕一)です。
相続や事業のお困りごとを丁寧に伺い、解決するサポートをしています。
フットワーク軽く、誠実に明るく元気に対応いたします。

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