こんにちは京都の若ハゲ税理士ジンノです。
相続税や相続対策のご相談があったときには納税金額の見込みと納税方法についてどうするおつもりか確認しています。
相続税を支払えるぐらいの現預金が遺されていればよいですが、そうではない場合には色んな選択肢を検討する必要があるからです。
売りたいときに売りたい価格で売れない
不動産や株式の遺産が相続財産に占める割合が比較的高い場合には遺された現預金で納税ができないかもしれない、というケースがあります。
そのようなときに不動産や株式を売却してその代金で納税をします、と仰る方がいますが本当に大丈夫そうかはシミュレーションしておきましょうとお伝えしています。
というのも不動産や株式は売りたいときに売りたい価格で売れないことだ大半だからです。
相続したものだから損益は気にしないと仰る方も中にはいらっしゃいますが人は誰しも損はしたくないものです。
思い入れのある実家がいくら古くなったとはいえ自分が思っている価格よりも低い価格だとやはりショックを受ける方もいます。
また不動産や株式の売買に慣れている場合はよいですが相続人の方がみなさんそれに慣れているかと言うとそういうわけでもないです。
基本的に財産が分けれていることが相続した財産を売却するためには必要ですので、家族の仲が悪くて分けられないとそもそも売却できない可能性が高くなります。
また不動産を売り急いでいることが売買の相手に知れると買いたたかれる可能性もあるのです。
路線価により計算した価格を0.8で割り戻した価格を想定して売却価額を設定していることがありますが、その値段はあくまで路線価ベースの時価を想定しているのでその価格で売れるかは分かりません。
相続により取得した不動産等は取得価額を引き継ぎますので、古くて広い土地なんかですと譲渡所得税の問題もでてきます。
不動産や株式を売却して相続税を捻出するということは意外とハードルが高く、またいろんな面でケアが必要ということはアタマの片隅に置いておきましょう。
お元気なうちに不動産や株式を売却等して整理しておく、というのも立派な相続対策だと私は考えています。
延納や物納のハードル
相続税の申告期限は亡くなってから10ヵ月以内です、納税もこの期限となります。
この期限までに原則として金銭一時納付をすることが求められるのですが、相続税には延納や物納などの制度があるじゃないかと思うかもしれません。
ケースにもよりますが延納や物納は遺産を売却して納税することよりもよりハードルが高くなります。
いきなり物納を選択できるわけではなく延納がまず可能かどうか、相続財産はもとより相続人等が持っている現預金から相続税が払えないかどうかをまず確認します。
現預金で一括納付が遺産からも相続人等の財産からも難しそうだ、となったときに延納の申請をして許可されることになります。
延納によっても納付が困難だ、という場合にはじめて物納という選択肢が選べます。
申請から許可までの期間もありますし、実際に延納が選択できたとしてもかなり高い利率を払うことになります。
あえて延納や物納を選ぶというよりは金銭一時納付できない場合の選択肢の一つという位置づけです。
結局はいくら払うのかが一番気になる
相続税も税金のひとつではありますが結局のところいくらぐらいを支払うことになるのか、というのが相続人のかたも気になるところです。
財産の分け方によって相続税の総額も特例適用により変わってきたりしますが、最大でどれくらいかかりそうか、その金額を払える財産の内容になっているか、というのは相続対策において確認しておくべきポイントです。
死亡保険金などがあれば受取人の変更を検討したり、やっぱり財産を売却しておこうかとなったら財産を遺す方が主導して手続きも出来ます。
相続税が現預金で払えそうだという目途が立ってはじめて相続税をいかにコントロールしていくのかを考えてみてはどうでしょうかと相続対策の場面ではお伝えしています。
最近では不動産では財産を相続したくない、というご家族も増えてきていますのでご家族の数だけ考え方もありますし、いい落としどころを探っていくという意味でもご家族の中でもコミュニケーションがあるほうが望ましいです。
まとめ
相続税は金銭一時納付が原則です。
可能な限りそこを目指しつつ、じゃあどんなことが出来そうか、どんなことをしておきたいか、というご要望をお伺いしつつ相続対策していくことが大切です。